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2025.09.27

インプラント治療の全貌:メリットとデメリットを徹底解説

インプラント治療の全貌:メリットとデメリットを徹底解説

銀座駅徒歩3分・東銀座駅徒歩10秒の歯医者・審美歯科「東京銀座A CLINIC デンタル」です。

歯を失ってしまい、食事がしづらい、見た目が気になる、といったお悩みをお持ちの方にとって、インプラント治療は非常に魅力的な選択肢の一つです。入れ歯やブリッジといった従来の治療法に比べて、ご自身の歯に近い感覚で噛むことができ、審美的にも優れていることから、近年注目を集めています。

しかし、インプラント治療は外科手術を伴い、費用も高額になる傾向があるため、「本当に自分に合った治療なのか」「治療は安全に進められるのか」といった不安をお持ちの方も少なくないでしょう。この治療は、失った歯の機能回復だけでなく、生活の質そのものを向上させる可能性を秘めている一方で、知っておくべきメリットとデメリット、そして治療の流れや費用、術後のメンテナンスについてもしっかりと理解しておくことが大切です。

この記事では、インプラント治療を検討されている方が、後悔のない選択をできるよう、その全貌を徹底的に解説します。インプラントの基本的な情報から、他の治療法との比較、治療によって得られる具体的なメリット、そして避けては通れないデメリットや費用、治療後の長持ちさせるためのポイントまで、皆様が知りたい情報を網羅的にご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。

インプラント治療とは?失った歯の機能と見た目を取り戻す治療法

インプラント治療は、何らかの理由で失ってしまった歯の機能と見た目を回復させるための先進的な治療法です。この治療では、歯が失われた部分の顎の骨に、人工の歯根(インプラント体)を埋め込みます。このインプラント体は、通常チタン製のネジのような形状をしており、手術によって顎の骨にしっかりと固定されます。

インプラント体が骨に結合した後、その上部に人工の歯を装着します。これにより、まるで自分の天然歯がそこにあるかのような、自然な見た目と噛み心地を取り戻すことが可能です。インプラントは顎の骨に直接固定されるため、安定性に優れており、入れ歯やブリッジでは得られにくい高い咀嚼能力が期待できます。

治療には外科手術が伴いますが、局所麻酔のもとで行われるため、手術中の痛みはほとんどありません。失われた歯の部位に、機能的にも審美的にも優れた新しい「歯」を再建し、食事や会話を再び心から楽しめるようになることが、インプラント治療の大きな目的です。

他の治療法(入れ歯・ブリッジ)との違い

歯を失った際の治療法には、インプラントの他に「入れ歯」や「ブリッジ」があります。これら3つの治療法は、それぞれ特徴が大きく異なります。

まず、固定方法に関して、入れ歯は取り外しが可能で、ブリッジは両隣の歯を削って固定するため取り外しはできません。インプラントは顎の骨に人工歯根を埋め込むため、取り外しが不要で、しっかりと固定されます。周囲の歯への影響という点では、ブリッジは健康な歯を削る必要がありますが、インプラントは失った歯の部分だけで完結するため、周囲の歯を削る必要がありません。入れ歯も周囲の歯にバネをかけることがありますが、削る必要はありません。

咀嚼能力を比較すると、インプラントは顎の骨に直接固定されるため、天然歯に近い感覚でしっかりと噛むことができます。入れ歯は粘膜の上に乗せるため、噛む力が天然歯の20〜30%程度に留まり、ブリッジも天然歯に比べると噛む力が落ちることがあります。審美性では、インプラントは天然歯と見分けがつかないほどの自然な見た目を再現できるのに対し、入れ歯は金具が見えることがあり、ブリッジも土台となる歯が削られているため、自然さに欠ける場合があります。装着感についても、インプラントは異物感が少なく、自分の歯に近い感覚ですが、入れ歯は口腔内に違和感を感じやすく、ブリッジも両隣の歯に連結されているため、部分的な異物感が生じることがあります。

インプラント治療の5つのメリット

インプラント治療は、失われた歯の機能を取り戻すだけでなく、生活の質そのものを大きく向上させる可能性を秘めています。食事を心ゆくまで楽しんだり、人前で自信を持って話したり笑ったりできることは、日々の暮らしに大きな喜びをもたらします。ここでは、インプラント治療がもたらす具体的な5つのメリットについて、詳しく見ていきましょう。

メリット1:自分の歯のようにしっかり噛める

インプラント治療の最大の魅力は、まるで自分の歯が戻ってきたかのように、食べ物をしっかりと噛めるようになる点です。インプラントは顎の骨に直接埋め込まれて固定されるため、天然の歯とほぼ同じ構造と機能を持ちます。これにより、一般的な入れ歯では難しかった、硬いお肉や繊維質の多い野菜、歯ごたえのある食べ物なども問題なく噛み砕けるようになります。

食べ物の咀嚼効率が向上すると、食事の幅が広がり、これまで我慢していた料理も再び楽しめるようになります。また、食べ物をしっかり噛むことは消化吸収を助け、全身の健康維持にも良い影響を与えます。食事を心から楽しめるようになることで、日々の生活の充実感も増すでしょう。

メリット2:見た目が自然で美しい

インプラント治療は、失われた歯の見た目を自然で美しい状態に回復できる点も大きなメリットです。人工の歯(上部構造)は、患者様一人ひとりの口元に合わせて、色や形、大きさまで精密に作製されます。そのため、周囲の天然歯と見分けがつかないほど自然な仕上がりとなり、口元を気にせずに笑顔を見せたり、会話を楽しんだりできるようになります。

特に、セラミックの一種であるジルコニアなどの高品質な素材を用いることで、天然歯特有の透明感や光沢を再現することが可能です。ジルコニアは見た目の美しさだけでなく、プラーク(歯垢)が付着しにくいという特性も持ち合わせています。これにより、長期にわたって美しさを保ちやすく、清潔な口腔環境を維持しやすいという利点もあります。

メリット3:周囲の健康な歯に負担をかけない

インプラント治療は、失った歯の部分だけで治療が完結するため、周囲の健康な歯に負担をかけないという大きな利点があります。例えば、ブリッジ治療の場合、失った歯の両隣にある健康な歯を削って土台にする必要があります。これは、まだ健康な歯の寿命を縮めてしまう可能性も否定できません。

一方、インプラントは顎の骨に独立して埋め込まれるため、隣接する歯を削る必要がありません。これにより、健康な歯をそのまま温存でき、将来にわたって口腔全体の健康を維持しやすくなります。周囲の歯に余計な負担がかからないことで、長期的な視点で見てもご自身の歯を大切にすることにつながります。

メリット4:違和感が少なく話しやすい

インプラントは顎の骨にしっかりと固定されるため、入れ歯のようにずれたり、がたついたりする心配がほとんどありません。そのため、口の中に違和感が少なく、まるでご自身の天然歯のように自然な感覚で使用できる点が大きなメリットです。

特に、上顎を覆うタイプの入れ歯では、口の中の味覚を感じる部分が覆われてしまい、食べ物の味や温度が感じにくくなることがあります。しかし、インプラントは口蓋を塞がないため、食べ物本来の味や香り、温度をしっかりと感じられ、食事をより一層楽しむことができます。また、発音の妨げになることも少なく、クリアな発音でスムーズに会話ができるでしょう。

メリット5:日々の手入れがしやすい

インプラントは、日々のケアが比較的簡単であるというメリットがあります。入れ歯のように毎食後に取り外して洗浄する手間がなく、基本的にはご自身の天然歯と同じように、毎日の歯磨きで清潔に保つことができます。

もちろん、インプラント特有の清掃が必要な部分もありますが、これは通常の歯磨きの延長として習慣化できる範囲です。特別な道具を使わなくても、歯ブラシや歯間ブラシ、デンタルフロスなどを適切に使用することで、インプラント周囲を清潔に保ち、長期的に安定した状態を維持することが可能です。これにより、日常生活におけるインプラントの管理負担が少なく、ストレスなく使い続けられるでしょう。

知っておくべきインプラント治療の4つのデメリット

インプラント治療は失った歯の機能と見た目を大きく改善する優れた治療法ですが、治療を検討する際にはそのメリットだけでなく、デメリットやリスクについても十分に理解しておくことが重要です。治療後に後悔することなく、長期的に満足できる結果を得るためには、潜在的な負担や注意点を知り、心の準備をしておく必要があります。

このセクションでは、インプラント治療に伴う「外科手術の必要性」「治療期間の長さ」「費用が高額になること」、そして「術後のメンテナンスの重要性」という4つの主なデメリットについて、それぞれ詳しく解説していきます。これらの情報を踏まえ、ご自身の状況に合った最適な治療選択ができるよう、ぜひ参考にしてください。

デメリット1:外科手術が必要になる

インプラント治療の最も大きな特徴の一つは、人工歯を支えるためのインプラント体を顎の骨に埋め込むための外科手術が必要になる点です。歯茎を切開し、顎の骨に専用のドリルで精密な穴を開けてインプラント体を埋入します。この一連の作業は、局所麻酔下で行われることがほとんどであるため、手術中の痛みはほとんど感じないことが一般的です。

しかし、手術後は個人差がありますが、一時的に患部に腫れや痛み、内出血などが生じる可能性があります。これらの症状は通常、処方された鎮痛剤を服用することで管理できます。また、内出血によるあざができることもありますが、これらはいずれも時間の経過とともに自然に回復していくことがほとんどです。

具体的には、術後の腫れや痛み、内出血などの症状は、通常1週間から2週間程度で落ち着いてきます。過度に心配する必要はありませんが、術後の安静や、飲酒・喫煙を控えるなどの注意点を守ることが、スムーズな回復には不可欠です。歯科医師の指示に従い、適切な術後ケアを行うようにしましょう。

デメリット2:治療期間が長くなる傾向がある

インプラント治療は、他の歯の治療法である入れ歯やブリッジと比較して、治療期間が長くなる傾向があります。これは、埋め込んだインプラント体が顎の骨としっかりと結合する「オッセオインテグレーション」という現象を待つための治癒期間が不可欠であるためです。この骨とインプラントが結合する過程は、インプラントの長期的な安定性にとって非常に重要なステップとなります。

この治癒期間は、一般的に下顎で2ヶ月から3ヶ月、上顎で4ヶ月から6ヶ月程度が目安とされていますが、患者さん個人の骨の状態、インプラントを埋め込む部位、喫煙の有無、全身疾患の有無などによって変動します。また、骨の量が不足している場合には、骨を増やすための「骨造成手術」が追加で必要となり、さらに治療期間が延長することもあります。

そのため、治療開始から最終的な人工歯が装着されるまでには、短くて3ヶ月、長い場合には1年以上の期間を要することも珍しくありません。仕事や生活への影響を懸念される方もいらっしゃるかもしれませんが、この期間はじっくりとインプラントが骨と一体となるための大切な時間です。焦らず、歯科医師と相談しながら治療計画を進めていくことが成功への鍵となります。

デメリット3:保険適用外で費用が高額になる

インプラント治療は、日本の公的医療保険制度が適用されない「自由診療」の扱いとなります。このため、治療にかかる費用は全額自己負担となり、一般的な保険診療と比べて高額になる傾向があります。この費用面が、インプラント治療を検討する上で多くの患者さんが懸念される点の一つです。

インプラント治療が高額になる背景には、高度な外科手術技術が必要とされること、生体親和性の高いチタン製のインプラント体や上質な人工歯(セラミックなど)といった高品質な材料を使用すること、精密な診断のためのCT検査や専門的な医療機器が必要になることなどが挙げられます。これらの要素が、治療費に反映されることになります。

具体的な費用の内訳や相場については、後のセクションで詳しく解説しますが、インプラント一本あたりの総額は数十万円単位になることが一般的です。歯科医院によって費用設定や使用するインプラントの種類が異なるため、治療を検討する際には、複数の歯科医院で相談し、ご自身の納得のいく治療計画と費用提示を受けることが大切です。費用は決して安いものではありませんが、その効果や長期的な視点での価値を考慮することも重要です。

デメリット4:メンテナンスを怠ると「インプラント周囲炎」のリスクがある

インプラント治療が成功し、人工歯が装着された後も、安心して終わりというわけではありません。インプラントを長期的に機能させるためには、適切なメンテナンスが不可欠です。このメンテナンスを怠ると、「インプラント周囲炎」と呼ばれる病気を発症するリスクが高まります。インプラント周囲炎とは、天然歯における歯周病と非常によく似た、インプラント周囲の歯茎や顎の骨に炎症が起こる病気です。

インプラント周囲炎の主な原因は、天然歯の歯周病と同様に、歯磨き不足などによるプラーク(細菌の塊)の蓄積です。インプラントは天然歯とは異なり、歯根膜という組織がないため、細菌感染に対する抵抗力が天然歯よりも弱いとされています。そのため、一度インプラント周囲炎が発症すると、天然歯の歯周病よりも進行が速い傾向にあります。

インプラント周囲炎が進行すると、インプラントを支えている顎の骨が溶けてしまい、最終的にはインプラントがぐらついたり、最悪の場合には脱落してしまう可能性があります。このようなリスクを回避するためには、日々の丁寧なセルフケアと、歯科医院での定期的なプロフェッショナルケアを継続することが極めて重要です。この予防策が、インプラントの寿命を延ばし、快適な状態を維持するために不可欠となります。

インプラント治療はどのような流れで進む?

インプラント治療は、失われた歯の機能を取り戻し、美しい口元を実現するための治療ですが、そのプロセスはいくつかのステップを経て進んでいきます。最初のカウンセリングから始まり、精密な検査、外科手術、そして最終的な人工歯の装着に至るまで、各段階にはそれぞれ重要な目的があります。ここでは、インプラント治療がどのような手順で進められるのか、その全体像を詳しく見ていきましょう。

ステップ1:カウンセリングと精密検査

インプラント治療を始めるにあたり、まず最初に行われるのがカウンセリングと精密検査です。この段階は、患者様の悩みや治療に対するご希望を詳しくお伺いすることから始まります。

その後、歯科用CTスキャンやレントゲン撮影、口腔内診査といった精密検査を実施します。これらの検査によって、顎の骨の量や質、神経や血管の位置といった、インプラントを安全かつ確実に埋め込むために不可欠な情報を正確に把握することができます。このステップは、その後の治療の成功を左右する非常に重要な土台となります。

ステップ2:治療計画の立案

精密検査で得られた詳細なデータをもとに、患者様一人ひとりに合わせた最適な治療計画が立てられます。この段階では、インプラントを埋め込む正確な位置や角度、本数、使用するインプラントの種類、そして最終的に装着する人工歯のデザインなどが具体的に決定されます。

歯科医師からは、治療期間や費用、治療に伴うリスクや注意点などについて、詳細な説明が行われます。患者様には、この説明を十分に理解し、ご納得いただいた上で治療に進んでいただくことが非常に重要です。これをインフォームド・コンセントといい、患者様ご自身の意思に基づいた治療選択を尊重する考え方です。

ステップ3:インプラント埋入手術

治療計画が確定すると、いよいよインプラント埋入手術が行われます。この手術は通常、局所麻酔下で行われるため、痛みを感じることはほとんどありません。まず、歯茎を丁寧に切開し、顎の骨にインプラント体を埋め込むための小さな穴を形成します。そこに、チタン製の人工歯根であるインプラント体を慎重に埋入し、切開した歯茎を縫合します。

手術時間は、インプラントの本数や難易度によって異なりますが、おおよそ1本あたり30分から1時間程度で完了することが多いです。術後は、一時的に食事や服薬、運動などにいくつかの注意点がありますが、歯科医師からの指示に従って安静に過ごすことが大切です。

ステップ4:治癒期間(骨との結合)

インプラント埋入手術の後は、インプラント体と顎の骨がしっかりと結合するまでの治癒期間が必要です。この現象は「オッセオインテグレーション」と呼ばれ、インプラントが顎の骨の一部となることで、天然の歯根のように安定して機能するための重要なプロセスです。

この期間は、個人差や骨の状態によって異なりますが、一般的には下顎で2〜3ヶ月、上顎で4〜6ヶ月程度の期間が必要とされます。この治癒期間を適切に設けることで、インプラントの長期的な安定性と成功率が高まります。焦らず、体の回復を待つことが非常に大切です。

ステップ5:人工歯の装着

インプラント体と骨の結合が完全に確認されたら、治療の最終段階である人工歯の装着へと進みます。まず、埋め込まれたインプラント体の上に、人工歯を連結するための土台となる「アバットメント」を取り付けます。

その後、歯型を採取し、周囲の天然歯の色や形に調和するように設計された最終的な人工の歯(クラウン)を作製します。完成した人工歯をアバットメントに装着し、噛み合わせの最終調整を行います。これにより、失われた歯の機能と審美性が回復し、インプラント治療は完了となります。これで、食事や会話を再び楽しむことができるようになります。

インプラント治療にかかる費用について

インプラント治療は、失った歯の機能と見た目を取り戻す素晴らしい方法ですが、やはり気になるのが費用ではないでしょうか。保険が適用されない自由診療となるため、どうしても高額になりがちです。しかし、その内訳や相場、そして費用負担を軽減できる医療費控除の制度について詳しく知ることで、資金計画を立て、安心して治療に臨むことができます。このセクションでは、インプラント治療にかかる費用の全体像を分かりやすく解説していきます。

費用の内訳と相場

インプラント治療の費用は、主に「相談・検査料」「インプラント埋入手術料」「上部構造(人工歯)料」の3つの要素で構成されています。まず、治療を始める前に行われる「相談・検査料」には、診察、レントゲン撮影、CT撮影などが含まれ、数千円から数万円程度が一般的です。これにより、患者様の口腔内の状態や顎の骨の質と量を正確に把握し、安全な治療計画を立てるための重要な情報が得られます。

次に、実際に顎の骨にインプラント体を埋め込む「インプラント埋入手術料」が大きな割合を占めます。これには手術費用とインプラント体自体の材料費が含まれ、1本あたり20万円から40万円が相場です。最後に、インプラント体の上に装着する「上部構造(人工歯)料」は、使用する素材によって費用が異なります。ジルコニアやセラミックなどの審美性に優れた素材は10万円から20万円程度と、比較的費用が高くなる傾向があります。これらの費用を合計すると、インプラント1本あたりの総額は、30万円から50万円程度が目安となるでしょう。

ただし、これらの金額はあくまで一般的な相場であり、歯科医院の設備、使用するインプラントメーカー、そして骨が足りない場合に行われる骨造成などの追加手術の有無によって大きく変動します。したがって、正確な費用を知るためには、必ず治療を受ける歯科医院で詳細な見積もりを取ることが重要です。複数の歯科医院で相談し、納得のいく説明と見積もりを得ることをおすすめします。

医療費控除は利用できる?

インプラント治療は自由診療であるため高額になりますが、「医療費控除」の制度を利用することで、その経済的負担を軽減できる可能性があります。医療費控除とは、1月1日から12月31日までの1年間で、世帯全体の医療費が一定額(原則10万円、所得によっては10万円以下の場合もあり)を超えた場合に、その超過分が所得控除の対象となり、所得税や住民税が還付・減額される制度です。

インプラント治療の費用は、この医療費控除の対象となります。治療費だけでなく、通院のための交通費(公共交通機関利用の場合)も対象となるため、領収書や記録を大切に保管しておくことが重要です。申請は、確定申告の時期に税務署へ必要書類を提出することで行います。会社員の方であれば、年末調整とは別に確定申告を行う必要があります。

例えば、所得税率が20%の方がインプラント治療に50万円を費やし、医療費控除の対象額が40万円だった場合、所得税から8万円(40万円×20%)が還付され、さらに住民税も軽減されることがあります。このように、医療費控除を賢く利用することで、実質的な治療費の負担を軽減することが可能です。制度の詳細や計算方法については、国税庁のウェブサイトや税務署、または税理士に相談することをおすすめします。

インプラントを長持ちさせるために不可欠なメンテナンス

インプラント治療は歯の機能と見た目を回復させる優れた方法ですが、その成功は治療が完了した時点ではなく、その後の適切なメンテナンスにかかっています。インプラントを長く快適に使用するためには、日々のセルフケアと歯科医院での定期的なプロフェッショナルケアの両方が不可欠です。特に、天然歯にはない「インプラント周囲炎」というリスクを理解し、これを予防するための継続的なケアが重要になります。このセクションでは、インプラントを長期間にわたって良好な状態に保つための具体的なメンテナンス方法について詳しくご説明します。

自宅でできるセルフケア

インプラントを長持ちさせるためには、ご自宅での丁寧なセルフケアが非常に重要です。毎日の歯磨きは基本中の基本ですが、インプラントは天然歯とは構造が異なるため、いくつかポイントがあります。特に、インプラントと歯茎の境目にはプラークが溜まりやすく、ここからインプラント周囲炎が始まることが多いため、徹底した清掃が必要です。

通常の歯ブラシに加え、歯間ブラシやデンタルフロス、タフトブラシなどを活用して、インプラントの周囲や歯と歯の間を丁寧に磨くことが大切です。特に、歯間ブラシはインプラントとインプラント、またはインプラントと天然歯の間の清掃に効果的で、デンタルフロスは細かな隙間のプラーク除去に役立ちます。タフトブラシは、インプラントの周りの少し複雑な形状の部分や、奥歯の届きにくい場所をピンポイントで磨くのに適しています。

これらの清掃器具を適切に使うことで、磨き残しを減らし、インプラント周囲炎の最大の原因となるプラークの蓄積を防ぐことができます。正しいブラッシング方法や清掃器具の選び方については、歯科医院で指導を受けることをおすすめします。毎日の正しいセルフケアを実践することが、ご自身のインプラントを守り、長期的に快適に使用するために直結するのです。

歯科医院での定期的なプロフェッショナルケア

ご自宅でのセルフケアはもちろん大切ですが、それだけではインプラントの長期的な安定を保つには不十分です。なぜなら、ご自身では取り除ききれない頑固な歯石やバイオフィルムが、歯周ポケットやインプラントの周囲に少しずつ蓄積してしまうからです。そこで必要となるのが、歯科医院で受ける専門的な「プロフェッショナルケア」です。

歯科医院では、歯科衛生士が専用の器具を用いて、通常の歯磨きでは除去できない歯石やバイオフィルムを徹底的に除去します。これにより、インプラント周囲炎の原因となる細菌の活動を抑え、感染リスクを大幅に低減することができます。また、定期検診では、レントゲン撮影によって肉眼では見えない顎の骨の状態を詳細に確認したり、噛み合わせのバランスをチェックしたりします。インプラント体や上部構造に異常がないか、細部にわたって専門家が検査することで、小さな問題の兆候を早期に発見し、悪化する前に適切な処置を施すことが可能になります。

これらの専門的なケアや検査によって、インプラントの寿命を延ばし、快適な状態を維持できます。一般的には、3ヶ月から半年に一度の定期メンテナンスが推奨されますが、患者さんの口腔内の状況やインプラントの本数などによって間隔は異なりますので、担当の歯科医師と相談して最適なメンテナンススケジュールを確立することが重要です。

インプラント以外の選択肢は?

歯を失ってしまった場合、インプラント治療は非常に優れた選択肢の一つですが、決して唯一の解決策ではありません。患者様それぞれの口腔内の状態、全身の健康状態、さらには価値観や予算によって、インプラント以外の治療法が最適な場合もあります。このセクションでは、これまでも歯科医療で行われてきたブリッジや入れ歯、そして近年注目されている歯そのものを残す再生治療についてご紹介し、患者様がご自身の状況に最も適した治療法を見つけるための一助となる情報を提供します。

ブリッジや入れ歯という選択

インプラント治療と比較されることが多い「ブリッジ」と「入れ歯」は、歯を失った際の伝統的な治療選択肢です。ブリッジは、失われた歯の両隣にある健康な歯を削り、それを土台として連結された人工の歯を橋のように固定する方法です。治療期間が短く、保険が適用される場合があるため費用を抑えられるというメリットがあります。しかし、土台となる健康な歯を削る必要があるため、その歯への負担が大きいというデメリットもあります。

一方、入れ歯は取り外しが可能な人工の歯で、部分的に歯を失った場合でも、全ての歯を失った場合でも適用できます。保険診療で製作できるため費用が比較的安価で、外科手術を必要としない点が大きなメリットです。しかし、金属のバネや床(しょう)と呼ばれる部分があるため、異物感や装着時の違和感が生じやすいというデメリットがあります。また、咀嚼能力や審美性においてインプラントに劣る場合が多く、毎日の取り外しと清掃が必要になります。

これらの治療法は、インプラント治療に比べて治療期間が短く、外科手術を必要としない点や、費用面でのメリットがあります。しかし、機能性や審美性、周囲の歯への影響などを総合的に考慮し、ご自身のライフスタイルや治療に対する優先順位と照らし合わせて検討することが大切です。

歯を残すための再生治療

歯を失った場合、一般的には人工物で補う治療が検討されますが、近年では可能な限りご自身の歯を「抜いて補う」のではなく、「抜かずに残す」ことを目指す「再生治療」が注目されています。これは、失われた組織を人工物で補うのではなく、本来持っている生体機能を活用して再生を促すというアプローチです。

再生治療にはいくつか種類があり、例えば「歯周組織再生療法」は、歯周病によって破壊された歯を支える骨や歯周靭帯などの組織を再生させる治療法です。また、虫歯が深く進行して神経が炎症を起こしたり失われたりした場合に、幹細胞を用いて歯の内部にある神経や血管組織を再生させる「歯髄再生治療」も研究が進められています。

これらの再生治療は、インプラントのように人工物を埋め込むのではなく、ご自身の天然の歯を温存できるという最大のメリットがあります。ただし、適用できる条件が限られており、全ての患者様に適応できるわけではありません。インプラント治療とは異なる先進的なアプローチとして、患者様の口腔内の状態や期待される効果によっては、有効な選択肢となり得ることを知っておくことは、より良い治療選択に繋がるでしょう。

まとめ:後悔しない選択のために、まずは専門家へ相談を

ここまで、インプラント治療のさまざまな側面について詳しく見てきました。インプラント治療は、失ってしまった歯の機能と見た目を取り戻し、食事や会話を心から楽しめるようになる、非常に素晴らしい選択肢です。自分の歯と同じようにしっかりと噛める感覚や、自然で美しい見た目は、生活の質を大きく向上させてくれるでしょう。

しかし、一方で、インプラント治療は外科手術を伴い、治療期間が長く、保険適用外で費用が高額になるという側面も持ち合わせています。また、治療後もインプラントを長持ちさせるためには、日々の丁寧なセルフケアと歯科医院での定期的なプロフェッショナルケアが欠かせません。これらの一つ一つの要素を理解し、納得した上で治療を選択することが、後悔のない結果に繋がります。

この記事で得た知識は、ご自身の歯の健康を考える上での大切な一歩となります。しかし、お口の状態は人それぞれ異なり、最適な治療法もまた一人ひとり違います。そのため、最終的にどのような治療を選ぶべきか悩んだ際は、信頼できる歯科医師に相談し、ご自身の状況に最も適した治療計画を一緒に見つけることが何よりも重要です。ぜひ、専門家の意見を聞き、あなたにとって最良の選択をしてください。

 

監修者

菅野 友太郎 | Yutaro Kanno

国立東北大学卒業後、都内の医療法人と石川歯科(浜松 ぺリオ・インプラントセンター)に勤務。
2018年大森沢田通り歯科・予防クリニックを開業、2025年 東京銀座A CLINIC デンタル 理事長に就任し現在に至る。

 

【所属】
・5-D Japan 会員・日本臨床歯周病学会 会員・OJ(Osseointegration study club of Japan) 会員・静岡県口腔インプラント研究会 会員・日本臨床補綴学会 会員 会員・日本デジタル歯科学会 会員・SPIS(Shizuoka Perio implant Study) 会員・TISS(Tohoku implant study society) 主催

 

【略歴】
・2010年 国立東北大学 卒業・2010年 都内医療法人 勤務
・2013年 石川歯科(浜松 ぺリオ・インプラントセンター)勤務・2018年 大森沢田通り歯科・予防クリニック 開業・2025年 東京銀座A CLINIC デンタル 理事長 就任

 

銀座駅徒歩3分・東銀座駅徒歩10秒の矯正歯科・審美歯科『東京銀座A CLINIC デンタル』住所:東京都中央区銀座5丁目13-19 デュープレックス銀座タワー5/13 12階TEL:03-6264-3086

記事監修医師
菅野 友太郎 院長

菅野 友太郎 医師

A CLINIC デンタル 審美歯科 矯正歯科